はじめに
荘厳で華麗なウィーン発ミュージカル「エリザベート」
『エリザベート』は1992年、オーストリアのアン・デア・ウィーン劇場で初演、98年までロングラン上演された後、ハンガリー、スウェーデン、オランダ、ドイツにおいても上演され、現在ウィーンで再々演中の人気ミュージカルです。

類稀な美貌の持ち主であると同時に、自由奔放な生き方を求めた少女エリザベートが、オーストリア皇后となったことから辿ることになる数奇な運命。そこに彼女を愛する黄泉の帝王トート(死)という抽象的な役を配した独創的なストーリー、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーで綴ったミュージカル『エリザベート』。

宝塚歌劇団では、1996年に、世界各地での海外上演に先駆けて、日本で初演。トート一路真輝、エリザベート花總まりによる雪組で上演致しました。オリジナル脚本を宝塚歌劇の公演形態に合わせてトート役を主演に置き換え、日本の観客に分かりやすく見直した小池修一郎による潤色・演出、そして宝塚歌劇独自の振付・装置・衣装により宝塚版として上演した完成度の高いその舞台は、各方面より高い評価を頂きました。以後、星組(1996年)、宙組(1998年)、花組(2002年)と再演を重ね、総公演回数459回、113万人の観客数を数える、宝塚歌劇の歴史に残る作品へと成長してきました。
トート役で宝塚最後の舞台を飾る彩輝直
5組目の上演となる今回の舞台でトート役を演じるのは、これがサヨナラ公演となる月組主演男役・彩輝直。1996年星組公演の際の新人公演においてトート役を演じて以来、トート役とは2度目の出会いとなります。その妖艶な魅力で好評を博した新人公演でのトート。そして主演男役となって演じるトート。歴代のトートがそれぞれの個性で異なる味わいのトートを見せてきただけに、宝塚生活の集大成となるこの舞台で、彩輝ならではの美しくも妖しいトート像を鮮烈に創り出してくれることと期待されます。そしてタイトルロールのエリザベートを演じるのは、瀬奈じゅん。男役がエリザベートを演じるのは今回が初めてのこととなります。日生劇場公演『風と共に去りぬ』(2002年)のスカーレット・オハラ役で娘役を演じたキャリアを持つ瀬奈。今回の舞台では、可憐で闊達な少女時代から晩年に至るまで、自由を求め、孤独と死のせめぎあいの中で生涯を送った皇后役に新鮮な息吹を吹き込んでくれることでしょう。

その他に、エリザベートの夫であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ役には専科から特別出演、伸びやかな歌唱力には定評がある初風緑。宙組全国ツアー公演『風と共に去りぬ』(2004年)のアシュレ役に続いて、宝塚歌劇の名作への出演となります。また、エリザベート暗殺者で、狂言回しの難役ルキーニには、歌、芝居、踊りと3拍子揃った実力派男役スター霧矢大夢が挑戦。悲劇の皇太子ルドルフには、翳りのある持ち味、幅広い演技力を持つ男役スター大空祐飛が扮します。

来たる2005年、初演から10年目を迎える『エリザベート』は、小池修一郎による更に練り上げられた演出、そして新キャストにより、新たな1ページを開きます。
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