Musical Fantastique「堕天使の涙」/レビュー・アラベスク「タランテラ!」

東京宝塚劇場公演 主な配役 出演者
公演期間:11月17日(金)〜12月24日(日)

この公演は終了いたしました(2006年)

新人公演情報
『堕天使の涙』
公演日程:11月28日(火)18:30開演

NOW ON STAGE(タカラヅカ・スカイステージ ホームページより)

Musical Fantastique
『堕天使の涙』
作・演出/植田景子

[解 説]

 20世紀初頭のパリ。デカダンスと背徳の香りに満ち、文化の爛熟期を迎えたその街は、光の都ヴィル・リュミエールと呼ばれていた。夢と欲望の交錯する街・・・。悦楽と刺激を求める人々は、東洋の妖姫マタ・ハリの官能的な舞に酔い、バレエ・リュスのニジンスキーの超人的な踊りとエキゾティシズムに熱狂していた。
 そして今夜、仮装舞踏会で有名なミュザールの夜会では、呼び物のアトラクションであるダンススペクタキュラーが始まろうとしている。今回の作品のテーマは"地獄"。幕が上がると、人々の目は主役の"地獄のルシファー"を踊るダンサーの姿に釘付けになり、その悪魔的な魅力の虜になる。そのダンサーは、ロシアから来たばかりだと紹介されるが、素性には謎めいた部分が多く、彼は"自分は地獄からの旅人だ"と言って人々をからかう。そして、その場に居合わせた、いつもスキャンダラスな話題を振り撒いて世間を騒がせる新進気鋭の振付家、ジャン=ポールに、自分の館を訪ねて来るようにと言い残して去って行く。
 翌日、約束通り、深い森の奥にある城館を訪ねたジャン=ポールは、その館のただならぬ雰囲気と、昨夜のダンサーの神秘的な佇まいに当惑を覚える。彼はジャン=ポールに、自分の為に"地獄の舞踏会"という作品を創ってほしいと依頼する。そして、自分は地獄から人間界に現われた堕天使ルシファーだと告げる。ジャン=ポールは、目の前に起っている出来事に半信半疑であるが、ルシファーと名乗るその男の踊る姿に次第に魅せられていく。彼の踊りを創りたいという芸術家としての野心を抑えることができないジャン=ポールは、ルシファーに誘われるままに、その仕事を引き受ける。
 そして"地獄の舞踏会"のリハーサルが始まる。その作品に関わる様々な人々、踊り子、芸術家、パトロン、それぞれの人間の本能と欲望が、ルシファーの誘いによって赤裸々になっていく。他人を傷つけ、身勝手で、卑劣で、心弱い人間たち。
 その人間の愚かさを冷笑し、人間を愛した神への呪いの言葉を放つルシファーであったが・・・。堕天使ルシファー、彼こそ、かつては"光の天使"と呼ばれ、天上界で最も美しく神に愛された存在だったのだ。愛が憎しみに変わった時、その思いはどこに行くのか?深い孤独をかかえ人間界を彷徨うルシファーが、最後に見つけるものは・・・。
 この公演をもって朝海ひかる、舞風りらが退団する。



レビュー・アラベスク
『タランテラ!』
作・演出/荻田浩

[解 説]
 "タランテラ"は毒蜘蛛の名前。その蜘蛛に咬まれた時、解毒の為に人々が踊ったとされる音楽・舞踊の名前がやはり"タランテラ"。或いは、蜘蛛の毒によって引き起こされるという「舞踏病」のことをも、また"タランテラ"と言い表す。「舞踏病」は中世ヨーロッパに大流行した社会現象で、それは抑圧された民衆のパワーが暴走して吹き上げた狂乱であり、その混沌と熱狂はカーニヴァル的な祝祭空間となって時空を超越する。この作品は、「舞踏病」をもたらす一匹の毒蜘蛛タランテラが、そのルーツを辿るように旅をする情景をつづっていく、情熱的かつ神秘的、そして生命力に溢れたレビューである。

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