宝塚歌劇 月組公演SpecialContents

「源氏物語千年紀頌 夢の浮橋」脚本・演出/大野拓史 | 「ファナティック・ショー アパショナード!!」作・演出/藤井大介

ストーリー

 光源氏が亡くなって数年後、宮中で評判の貴公子と言えば、今上帝の第三皇子・匂宮(母は光源氏の娘・明石の中宮)と、光源氏の末子・薫(母は女三の宮、実は柏木の子)の二人であった。

 ある殿上淵酔(清涼殿に殿上人を招き行われる酒宴)の夜、匂宮を中心にした舞が華やかに繰り広げられている。しかし舞の相手が薫ではなかったことに気付いて、匂宮は舞を途中で止めてしまう。いぶかしむ人々に、匂宮は五節の舞姫の一人に目を奪われたと言って誤魔化すが、匂宮の普段の色好みぶりから妙に納得されてしまうのだった。
 彼らの期待に応えるために、その舞姫・小宰相の君の部屋に忍び入る匂宮。匂宮の手慣れた口説きに応じるかと見える小宰相の君だが、それは姉の女一の宮の罠で、気が付くと女一の宮の侍女たちに取り囲まれてしまう。匂宮は、口説いた女性の後始末を、女一の宮の侍女に送り込むことで済ませていたのだ。

 這々の体で退散する匂宮だが、淵酔を欠席した薫が宇治に姫君を囲い始めたらしいと聞き、宇治へ向かうことにする。匂宮は、光源氏の異母弟で宇治に隠棲し仏道三昧の生活を送っていた八の宮の娘・大君を、ついに結ばれることなく失ってしまった薫のことを気に掛けていたのだ。
 宇治の旧八の宮邸。薫が都に戻った後、匂宮は薫のふりをして邸内に忍び入り、薫が囲っている姫君・浮舟を抱こうとするが、匂いの違いに気づいた浮舟に正体までも当てられてしまう。興が冷め、抱くのを止める匂宮。やがて訪れる朝の光の中、匂宮は、浮舟が大君に生き写しであることに気付く。

 そのころ宮中では、政権を掌る夕霧(光源氏の長子)と、次期東宮候補で夕霧の婿でもある二の宮(匂宮の兄)の間で、政治的な意見の対立が起きつつあった。やがて夕霧とは不仲の紅梅家の娘・中の君との関係が露見すると、二の宮は、東宮になる資格がありながら、なれなかった者に与えられる代償的な地位である式部卿宮に任ぜられる。そして匂宮は、二の宮に替わり自身が東宮にされようとしていることを知る。

 やりきれず外へ出た匂宮に、宮中に飽いて庶民に戻った小宰相の君が声を掛け、宇治神社の祭礼の見物に無理やり誘う。田楽の響きに酩酊し、光源氏の幻影を見る匂宮。美しく、だが人を不幸にする世をつくった人の幻影。匂宮は、その血をひく自分もそのようにしか生きられないのではないかと怯える。荒れた心のまま小宰相の君を抱こうとする匂宮だが、このまま共に都を立ち去れるかと問われ、答えられない。

 宇治。縋るような心地で忍んで来る匂宮。亡き大君の形代として異母妹の自分が呼ばれたとの思いから逃れられない浮舟。語り合ううちに、匂宮は偽らない本心を始めて明かし、浮舟は匂宮を受け入れる。
 後朝。浮舟一人が残った部屋に薫が現れ、匂宮の訪れを香りで察する・・・。

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