【解説】
西域や北方民族と領土争いの絶えない中世の中国を舞台に、名もなき孤児(みなしご)に生まれながらも、皇帝になりかわり、その座を掴み取ることができた男。その数奇な運命をドラマティックに描いた中国歴史ロマン。
中世の中国、宋の時代。宋の皇帝は跡継ぎに恵まれず、男児は正室の生んだ皇太子ただ一人であったが、この皇太子は病弱で、しかも皇帝になる器を持たぬ人格であったため、皇帝は老いと共に、宋国の未来を案じていた。そんなある日、日食が起こり、降るような流れ星の中、側室の一人が玉のような男児を産む。その子はその名を"龍星"と名付けられ、皇帝は寵愛する。皇太子の身を案じた正室は"龍星"の暗殺を企むが、母親である側室が自分の命と引き換えに我が子の身を守り、命を落とす。 宋国の李宰相は、皇子"龍星"を守るため、誰にも知られぬよう自分の息子と入れ替え、わが子として引き取り、育てることにする。しかし不運にも、入れ替わった李宰相の息子は、正室の陰謀により、宋国の皇子として、幼くして敵国の金へ、人質として送られてしまうのだった――。
一方金国では、烏延(うえん)将軍が、人質として送られてきた宋の皇子(実は宰相の息子)を密かに始末し、代わりに名もなき宋の戦争遺児と入れ替える。その日からその孤児は宋国の皇子"龍星"と名乗り、将来、敵国である宋に戻された時、自国である金のための密偵となるよう教育される。
ついに宋の皇帝が崩御した。"龍星"(実は金国の密偵)は、皇太子となるべく宋へと帰国することになるが・・・・・・。 |